フィトケミカルは栄養素ではない

仕事上、まれに健康番組を見ることがあります。
「主治医が見つかる・・・」
「たけしの・・・」
「林修の今でしょ・・・」
「健康カプセル・・・」
「世界一受けたい・・・」などなど

そんなに視聴率が高いのかしら?
と疑問になるほど、
週に数本の健康番組が放送されています。
視聴者はその情報をどのように利用しているのかしら?

番組でテーマに取り上げられた食材が
マーケットから消えるくらいならまだかわいい。
このタイプの視聴者はすぐに別の情報に鞍替えするのだから。

お気の毒なのはご高齢の方たち。
「○○が生活習慣病のリスクを下げる」と放送されると、
その食材をその後ずーっと摂取し続ける。
翌週見た番組で別の食材が紹介されると
またそれを追加。
最近見たTVで取り上げていた数種の食材が食卓に。

食が細くなりがちな方の場合は
1食の大半がそれらの食材ということもありえる話です。
はたしてその食事内容はヒトに適したものなのでしょうか?

ヒトの健康は
バランスのとれた食事、
定期的な運動習慣、
質の高い睡眠を含めた休養
などで保たれている。
その中でも特に重要なのが栄養です。

身体を維持したり、
エネルギーをつくったり、
生命維持のために必要なものを「栄養素」といい、
糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルを5大栄養素といいます。
5大栄養素はどれ一つ欠けても生きていくことはできません。

しかし・・・
健康番組のほとんどは
「栄養素」という言葉の使い方から間違っちゃってる。

なぜこのようなダメ出しをしているかというと、
今朝、生徒さんから以下のような質問があったからなのです。

「昨夜、健康番組でいちごの栄養素を取り上げていました。
肥満に対する予防効果のある栄養素に
いちごタンニンが紹介されていました。
いちごタンニンはどのタンニンの仲間ですか?」
おそらく「加水分解型タンニン」か「縮合型タンニン」かを聞きたいのだと思います。

生徒さんからのメールには番組名もあったため、
自宅のTV録画をチェックしてみました。
ほとんどの録画は、見ることなく消去するのですが
(撮ってはみたものの、見る時間がなく)
幸い、昨夜のものはまだ残っていました。

番組の一部の内容を要約すると
いちごには以下の栄養素が含まれているということでした。

①冬バテ対策・・・ビタミンC
②心臓病対策・・・アントシアニン
③肥満対策・・・・いちごタンニン

生徒さんの質問は③についてでしたが、
いちごタンニンについて考える前に、
私のアンテナが反応しまったというワケです。
(アンテナが反応→ダメ出し)

①のビタミンCは栄養素。
しかし②と③は栄養素なの?
フィトケミカル、つまり非栄養素じゃないかしら?

番組中で「非栄養素」という言葉を使いたくないのなら、
せめて「機能成分」とするのが適切なのでは?

高校までで基礎教育は身についているとはいえ、
ほとんどのことは忘却の彼方。
大人になってから基礎教育の重要性に気づいても
知りたい知識だけ学べる場所を見つけるのは難しい。
そんな中、TVは手っ取り早く
優しい言葉で学べる学習ツールとしての役割を持っているのかも。
ならば尚のこと
正しい知識を放送してほしいものです。

番組内でいちごの解説をなさっていらしたのは
金沢大学で長く教鞭を執られた名誉教授。
現在この方は「ある企業」で
いちごの成分の研究責任者をなさっている。
その「ある企業」は、
野菜や果物などの植物から機能成分を抽出し、
サプリメントの成分として販売しているようです。
いちごの機能性についての解説には
おそらく長けておいでの方なのでしょうし、
純粋にいちごの良さを皆さんにお伝えしたくて出演されたのでしょうねぇ。
とてもわかりやすい解説をしてくださっていました。

しかし、
番組の内容はあくまでも「いちごの機能性」についてで、
視聴者個人の健康に対するのものではありませんでした。
これは全ての健康番組に言えることだと思います。

この番組が一番貢献した相手は恐らくいちご農家さん。
ま、それならそれで私は一向に構わないのですが。
いちごは大好きだし。
農家の皆さん、いつも美味しいいちごをありがとうございますm(_ _)m

食材に
「スーパーフード」なるものは存在しないと思います。
食材の数はなるべく多く、
偏った食材で献立を作らないこと。

さて、生徒さんの質問にはこうお答えしました。

「構造式を見てみないとわかりません」と。

通常、
「植物名+化合物名」で紹介されている場合、
単一成分を示しているのではなく、
その植物(今回はいちご)に含まれる
化合物(今回はタンニン)に類似するものをひっくるめて指しているようです。

チョコレートのCMでお馴染みの「カカオポリフェノール」と同じ理屈。
しかし番組中に
「いちごタンニンはいちご特有の成分」
「新しく見つかった」という解説もあったので、
単一成分なのかも。

かつて
赤ワインの抗酸化成分「レスベラトロール」を
「ポリフェノール」と紹介したのと同じで、
正式名称を公表するより
一般の人が覚えやすい名前をお知らせしただけなのかもしれません。

それにしても・・・
冒頭に紹介した番組の視聴率は案外いいのかも。
自宅近くのイオンやマックスバリュには
いちごの欠片も残っていませんでした。

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